top of page
IMG-1410-Original_edited_edited.jpg

ダニマップ

ダニとは?

節足動物門、鋏角亜門、クモ網、ダニ科、マダニ亜目、マダニ科に属しており、日本にはおおよそ43種類のマダニが生息している。

ダニ科には、マダニ以外にもササラダニ、ツツガムシ、ヒゼンダニ、ウモウダニ、ホコリダニ、チーズコナダニ、ヤドリダニ、タカラダニ、ニキビダニ、ケダニ、ウデナガダニなどがいる。

​マダニ科は主に6属(マダニ属、チマダニ属、キララマダニ属、カクマダニ属、コイタマダニ属、ウシマダニ属)が日本に生息している。

マダニ種類.jpg

​マダニの体のつくり

マダニの体のつくり.jpg

ダニの生態

​マダニは卵、幼ダニ、若ダニ、成ダニと成長する。卵から孵化した後は各ステージにおいて温血動物に咬着し吸血をする。

卵から孵化するまではおおよそ1から2カ月かかり、幼ダニとなる。幼ダニ期には3~4日間、温血動物に咬着し吸血する。吸血後は15~40日間休眠し、その後脱皮、また休眠に入る。脱皮後は若ダニ期になり、吸血を4~6日間行う、その後はまた15から40日間の休眠に入り、脱皮とさらなる休眠に入る。脱皮後は成ダニ期に入る。成ダニ期では吸血を2~3週間行い、そこで交尾し産卵の準備に入る。吸血後はおおよそ1週間から2カ月間休眠をした後、メスは産卵期に入る。

このようなサイクルを最短で3カ月、平均として通常は3~4年かけて行う。

ダニのライフサイクル.jpg

ダニ媒介性疾患について

日本には主に日本紅斑熱、ツツガムシ病、重症熱誠血小板減少症候群(SFTS)、ライム病、ダニ媒介性脳炎、ボレリア回帰熱、野兎病の発生報告がされている。

関東圏内においては日本紅斑熱、ツツガムシ病の発生が報告されている。

近年西日本を中心に問題となっているSFTSにおいては、群馬県でのウィルス抗体検出の報告はあるものの、関東での患者報告は未だない。

ライム病は、世界でも問題となっているダニ媒介性疾患のひとつであるが、日本では主に北海道や長野県などの寒冷地や高山地帯での発生が確認されている。ライム病を媒介するシュルツェマダニは標高1,000~1,500m付近に生育していることから、ある程度の低い標高地帯でも感染症の媒介が懸念されている。

ダニ媒介性疾患はいずれにせよ、高齢者や小児での発生と危篤化が多い。

マダニに咬まれるその他のリスクとは?

マダニに咬まれた後に気を付けなければいけないのは、感染症だけではない。アレルギーへの影響も問題となっている。

マダニの唾液に含まれる抗原によって、魚卵や牛肉、一部の抗がん剤へのアレルギー反応を発症させる恐れがある。

​特に血液型がB型の人においては、アレルギーになる恐れがかなり高いため、気を付けなければならない。

マダニの咬むとは?

ダニに血を吸われている図.jpg

マダニから身を守るには?

<服装>

マダニから身を守る服装としては、長袖、長ズボン、長靴もしくはブーツ、手ぬぐい等で首周りからの侵入を避けるような服装を心がける。

衣服の素材としてはツルツルしているもの(ナイロンヤッケは有効)であると、幾分つきにくくなる。袖や裾はマダニの侵入場所になるため、手袋や靴下・長靴などに入れる。

​総じて、野外では、腕・足・首など肌の露出を避けることが重要である。

<虫よけスプレーについて>

マダニにはディートとイカリジン一般的に有効とされており、厚生省も承認をしている。ディートは蚊、アブ、ヌカカ、ブユ、マダニ、ヤマビルに効果があるが、神経毒性があるため20%以上の濃度があるものは妊婦や小児(12歳以下)での使用は避けるべきである。また、皮膚や粘膜に刺激性があるため、使用に注意が必要である。最近はジカ熱やデング熱の発生によって、国内のディート上限濃度も30%とと高くなっている。

イカリジンは蚊、アブ、ヌカカ、ブユ、マダニに効果があり、ディートとは異なり神経毒性の報告はない。また、妊婦や小児での使用制限も特にないが、皮膚や粘膜への刺激性はディートと同様にあるため、注意が必要である。また、ディートと比べると製品数が少ない。

成分の濃度が高いものは効果があるわけではなく、作用時間が長くなる。

【結局何を使えば良い?】

肌用:刺激が少ないがディート多め

衣服用:ディートが少なめのもの

  →汗や運動によって作用時間は短縮するため、乾かすと◎

  →国内の認証されている最大濃度は30%であり、ムヒやサラテクトに

   は30%の製品がある

<野外作業の後は?>

​外出後は作業着を室内に入る前にチェックし、良く払ってから室内に入る。そして、シャワーや入浴でマダニがついていないか確認をする。マダニがついていた場合、もしくはついているか不安な場合は、ガムテープや粘着ローラーでマダニを除去することがお勧めである。

マダニから身を守る服装.jpg
マダニから身を守る方法.jpg

マダニに咬まれたときの対処法

咬まれているのに気づいたら、早めに取った方が良い。手でつまんで取ったり、ワセリンや酢酸を塗るなどは控え、適切に取れない場合(口器を残さずに取る)は、皮膚科に行くことを推奨。自分で処置を行う場合はTick Twister(無い場合は眼科鑷子)を使って処置することが良い。

口器を残すと化膿してしまう可能性が高いため、マダニを取る際は慎重に行うことが望ましい。

取ったダニをつぶした際に小さな傷があるとその隙間から感染する可能性があるため、つぶしたりせず、できれば保管しておくこと(感染症の潜伏期間である1~2週間を過ぎるまで)を推奨する。

マダニに咬まれたら.jpg
Tick Twister.jpg

マダニの耐久性?

  •  -20度で1週間は生存

  • 温度上昇とともにすぐに活動再開

  • 2週間冷凍するとほぼ全て死亡

  • 真空でも生存するため二酸化炭素ガスの使用は関係ない

  • 衣類においては、乾燥機の熱でほとんど全て死亡

  • 湿度が生存に不可欠。家屋内環境の乾燥度なら長期間の生存は見込めない(※クリイロコイタマダニは沖縄県において家屋内でも繁殖する)。

 宿主動物が死亡すると、動物の体温が低下することによって、マダニは吸血を中断し、動物の体表から脱落する。その後、一部のマダニは脱皮過程に進むが、もう一部は再び宿主動物の探索を始める。

​ そのため、動物の解剖や運搬作業をする従事者においては、付着・吸血するリスクがあるため、十分な防護対策が必要である。

bottom of page